西洋料理のマナー (覚書)

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始めに

・TPO(ティーピーオー)すなわち、Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場合)によってテーブルマナーは変わるべし。

・対等に知性を有する者の、相互に相手を人として認めつつ、会話を楽しみつつ、共に食事を行うためには、野獣のごとき食物をあさる醜態を、相互に見せあわないようにする必要がある。それは人間の道徳的状態に劣等を感じた刹那に、共に語り得ない、共に喜び得ない、下劣の動物に感じられるためであり、それを開始すべくマナーを身に付けることが、社会上有用であり、人間生活上不可欠であると認められているがゆえに、マナーは必要不可欠のものである。

・つまりは、相互が幸せに食事を楽しみつつ、かつ共同で食事をすべき甲斐を見出し、それを高めるためにこそマナーは君臨している。その際、国際社会においては、自国の我を貫くよりも、その料理のもともとの社会的規約に寄り添って食事を楽しむことが、今日ではより奨励されていると思われるので、洋食には、おおよそ西洋地域の洋食マナーを身に付けるべしとされている。

・しかし、むしろ各国人が自国のマナーに則って、西洋料理も箸で食して、ナイフで食する人と、対面に対座して、何が悪いだろう。というのは、私の個人的な感想に過ぎない。

・何でもいいが、ともかくも、西洋はレディーファーストをマナーに掲げるため、それに関する制約が非常に重要な意味を持っている。ドアは男性が開いてやる者だし、席は女性から先に座る者だし、飛行機の脱出だって、きっと、レディーファーストかと想われる。それならついでにお化け屋敷もレディーファーストにしたらよかろう。

全体の流れ

①予約
 いわゆる全面的にサーヴィスをしてくれるようなレストランには、事前に予約、服装の確認などを取っておくのがマナー。子供などの年齢制限のある場合もある。犬猫、持ち込み可能なところはまずない。犬猫に劣るような人間の場合も ??? たぶん同様である。

②前準備
 入る前に、携帯は切っておくか、マナーモードにしておく。鳴り響くと、ひんしゅくのために、真っ赤になって、食事の味が分からなくなること請け合い。また、身だしなみや、お手洗いは案内前に化粧室で済ませて、食事中はなるべく席を立たない。やむを得ない場合のお手洗いも、あまり好ましくない。(なんてあまり気にしすぎる必要も無い気がする)むしろ料理が不味くなるから、生理現象を催したら我慢しなさんな。そのくらい、誰も咎めない。

③座席
 男女のカップル、友人同士の場合、案内の後ろには女性が先に続く。案内側は上座の席をまず引くので、女性からテーブルの上座に座る。男性は「ひゃほーい」とよろこんで先に座らないこと。複数での会食の場合は、上司やゲストが上座に先に座り、招待する側(ホスト)が後に座る。(ある程度の人数のホスト役を務めることになったら、予約の時に席についても質問しておくとよいそうだ)

[上座について]
 よく言われるのが、入口から離れた方が上座。しかし、窓の景色の見渡せる方が上座とか、視野が広く取れる方が上座とか、レストランごとに複合的な上座下座が設定されているようだ。いずれにせよ、お店側に任せておけばよい。

④着席
 椅子の左側から腰を下ろす。(圧倒的に右側の方が入りやすい場合、左側が不可能な場合は、無理せず右側から座ってよい)基本的には、ウェイターが椅子を引いてくれたら、中央へ入って着席する。この際、小学校のいたずらみたいにウェイターが椅子をさっとどけてしまうことはないので、おっかなびっくりではなくゆとりを見せて着席する。

⑤手荷物
 手荷物などは、左側(隣席にとって右側になるので、隣人の出入りしない側になる)の足もとへ置くか、椅子の背中のところに置く。テーブルの上には置かない。椅子にかけるのもあまりよくないらしい。諸説あるが、邪魔にならない、小さなものならば、椅子に掛けても構わない気がする。

⑥レディーファースト
 男性は女性が席に着くまで、複数の場合も、席にすわってはならない。と説明するあいだにも、日本の男性の皆さん、もう、うっかり座っちゃっただろう。それだから駄目なのさ。ダスゲマイネ。

⑦食前酒
 メニューを渡されて、食前酒を勧められたら、注文したければ注文する。必ずしも注文する必要はない。何がよいか分からなかったら、「ハニーの御心のままさ」などと不埒千万な発言をせず、「なにを注文したらよいのか、僕ちん分かんない」とだだを捏ねたりもせず、「なにがおすすめでしょう」くらいでお茶を濁しておいてもかまわない。「ビール」なんか注文すると、「アホやなこいつ」と思われがちである。

[食前酒について]
 フランス語ならアペリティフ(Aperitif)、イタリア語ならアペリティーヴォ(Aperitivo)などと呼ばれるが、分からなかったらとりあえずシャンパンを頼んでおけばよい。あるいは白ワインベースのキールといったカクテルあたりがよいかも知れない。ミネラルウォーターなども注文できるが、ただの(無料の)水をくれなどとは注文しない。食前酒は、食欲増進や、会話の増進、またメニューを選ぶ合間のお酒として楽しまれる。

[おまけ、乾杯について]
 ワインにしろ、他の酒にしろ、レストランではグラスをかち合わせて乾杯したりしない。ちょっとグラスを掲げる風にしてやる。居酒屋のノリに陥らない。

⑧メニュー
 結婚式などのフォーマルな時でもなければ、普通はセット・メニュー(時代錯誤のフルコース)などは頼まない。西洋では「ア・ラ・カルト(お好み)」が一般的。日本では、セット大好きっ子が大勢いるので、セットが幾分充実しているが、基本は「前菜」に一品軽いものを、「メイン」に肉か魚の中心となる料理を頼むのが一般的のようだ。もの足りないようなら、もう一皿考える。一方で、スープはあまり重要視されていない。デザートは、食事の様子を見て、改めて後から注文する。

[メニューについて]
 例えば数人で来て、一人だけ皿の数が違うと、えらく難儀(なんぎー)なことになる。失礼だから、回りに合わせるのがマナー。また、ファミレス気分で、とりわけなんかしない。特別な料理の席にわざわざ来ているのだから、その瞬間だけは、猫に睨まれた鶏のように、従順でおとなしくしていることが望ましい。

⑨ワイン
 メニューの注文が終わると、ソムリエがワインを尋ねにやってくる。「泣く子はいねが」と包丁を持ってやってくる。(嘘)もっともソムリエのいない気楽なレストランでは、ウェイター、ウェイトレスがそのままワインの注文を承る。ワインは食中酒として、料理の味をマジシャンの如く豊かにする作用を持っているので、嫌いでなければ、注文したい。

[ワインについて]
・まず第一に、赤白ロゼなどの飲み口に、好き嫌いがある場合、肉や魚に関わらず、無理して嫌いなものを注文しない方が良いだろう。必ずしも肉なら赤が合うわけでも、魚なら白がおすすめな訳でもない。分からなかったら、この料理には何が合いますかと、お尋ね致す所存である。というか、ソムリエは料理とワインの相性を高めて、お客様に最適な料理を楽しんで貰うためにのみ存在するので、これを最大限活用した方がよい。つまるところ、知識すらろくになく、好き嫌いもはっきりしない場合、例えばワインのお値段の方を指さして、「この位のお値段で、料理に合うものを」と言ってしまっても構わない。うろ覚えの情報で自分で選ぶより、ソムリエに任せた方が、おいしいワインを選んでくれる。

・気さくなちょっとした会食くらいの席なら、安くて軽いハウスワインの赤白で済ませてしまってもかまわない。この場合、仰々しいテイスティングなどは行われない。若くて軽いワインはフレッシュで果実味が強いので、飲み慣れない人にはかえって飲みやすいものであるし、どんな料理にもマイナスには作用しないものである。

・ワインは普通、男性側が注文する。カップルの男側とか、グループならホストをする立場の男性が行う。

・もし、テイスティングすることになったら、コルクをテーブルに置かれたらとりあえず頷いておけばいい。注がれたワインを、斜めに傾けて透明度を確認。香りを嗅いでから、ひと口ふくんで、問題がなかったら、あるいは問題があるんだか無いんだかさっぱり分からなかったら、「OKだっちゃ」(嘘)と答えておく。ここでは、好みを確認しているのではなく、すでに頼んでしまったワインの品質管理を確認しているので、「僕ちん、やっぱりこんな甘いの嫌だい」とか「やっぱ白がいいかなあ」とか言って、ソムリエや回りの人々に衝撃を与えない。

[ワインの注がれ方]
・ワインはグラスを置いたまま注ぐので、ソムリエが来たからと言って、グラスを手に持って差し出したりしない。もうこれ以上いらないという場合は、注ごうとした時に、かるく指先で中止する合図をすれば、よほどアホなレストランでなければ、また注ぎに来たりはしない。

・万一空になっても、自分で注いじゃ駄目。ソムリエ、あるいはウェイターやウェイトレスをお呼びになってください。ただし、幾分気楽な食事などでは、仲間内でお酌をすることもある。その場合は、男性が行うのがマナー。やはり、注ぐときにグラスを持ち上げたりしない。

[ワインの飲み方]
・一応、温度が上がらないように、細い枝の所を持って、軽く回して香りを楽しむときは、自分の顔側に向かってくるくる回すのがよい。(外側に跳ねないから)

・油ものをお食事しながらの場合、ナプキンで口もとをぬぐってからワインを楽しんだりする。

⑩ナプキン
 注文をしたら、適当なところで、ナプキンを着ける。というより膝に置くといった方が正しい。テーブルの上のナプキンを、膝のところで開きざまに二つ折りにして、折れた方を手前(お腹側)にして、脚に向かって掛ければいい。落ちるのが気になる人は、斜めに三角折りにして、両側の角のところをお尻で挟むなんて技もあるらしい。見えないところだから、多少の自由は構わないのだろう。

 フォーマルな席では、主賓がナプキンを付けてから付けるのがよい。ただし結婚披露宴など、乾杯などがある場合は、その後で付ける。普通の食事では、厳格な決まりはない。たとえば食前酒を頼んだら到着前にとか、メニューを注文をしてから付けるくらいでよい。ただし、レディーファーストだから、女性が着けてから、男性が着ける。もし女性がすぐ着けたら、男性もそれに合わせる。自分だけ、後からゆっくり着けたりしない。なかなか、面倒なことである。

[ナプキンについて]
・ナプキンは、手、指を拭くのと、口もとをちょっとぬぐうのに使用する。二枚折の内側を使用すると、汚れが内側になるのでよいようだ。

・油ものなどを食事した後、ワインを飲む前などには積極的に使用するべきものらしい。

・ちょっとしたテーブル汚れなら拭ってもいいけど、基本は手と口回りだけである。食器やカットラリー(ナイフ、フォークなど)を拭かない。

・膝から落としても、自分で拾わないで、ウェイター、ウェイトレスを呼ぶ。これはナイフやフォークと同様である。

・手洗いなどのため途中で席を外す場合、軽くたたんで、椅子の背もたれのところに掛けておく。別にテーブルの上でも問題ない。食事が済んだと勘違いするようなアホなウェイターはまず存在しない。

・また椅子の上(座るところ)に置くという解説もあるが、いずれにせよ、食事中席を立つこと自体が、あまり宜しいこととされていない。

・食事がすべて終わったら、やはり軽くたたんで、今度はテーブルの上に置く。すべてといったら、珈琲も飲んでからだ。要するに終わって席を立つときまでは、外さないのが基本である。

・体裁が悪いだけだから、「これが正式だぜ」なんてはしゃいで、ぐちゃぐちゃのまま、テーブルに置く必要はない。一方で、懇切丁寧にたたむと、「もう来ねえぜ」という絶縁状になるという言い伝えがあるので、適当にたたんで載せておく。これも回りの食事の終了に合わせて、自分だけ先にテーブルにあげたりしない。まして、女性より先に外したりしない。

・正式な席では、招待者側の女性、ホステスがナプキンを付けたら付けて、外したら外すなど、いろいろ細かい仕来りがあるようだ。私はそこまでは知らん。

・基本、右側が上席(?)になるので、終わった後は、テーブルの左側に置くそうである。

・ナプキンがある状態で、ハンカチを使用するのは、店に対して失礼。同じ理由で、ティッシュペーパーもよろしくないらしい。これは、紙ナプキンがある場合も、ティッシュペーパーやハンカチは使用しないのがマナーのようだ。

⑪お食事タイム
 カットラリーを駆使して、料理を楽しむ。詳細は改めて下に記す。

⑫デザート、喫茶、食後酒
・余裕があって、いただきたい場合、食事の適当に進んだところで注文する。作るのに時間の掛かるデザートでもなければ、メインの食事が済んだ後に注文してもよい。もちろん、正餐のお呼ばれであれば、勝手にコースになっているだろう。

[珈琲について]
・コーヒーであっても、ソーサーはやはり西洋流ではテーブルから持ち上げない。カップだけをつまんで口に運ぶべし。

⑬会計
 ファミレスではないので、基本はテーブルでの会計になる。男女のカップルなら、基本は男性が支払いを行う。会計はテーブルごと一緒に行う。おばっちゃーん軍団の必殺技、十円出し合って個別会計などは野獣のごとき蔑視される。

 たとえば仕事の商談など、一線を画すような間柄で、一方が支払いをするような場合は、かえって支払いする人が、レジまで行って会計をした方がよかったりする。すべて状況に応じて。

⑭退席
 ナプキンを外すのも、席を離れるのも、レディーファーストを邁進する。店を逃れるときには、お店にひと言「あんたらの料理最高だぜ」(を丁寧語に変換して)退出するのが好ましい。

食事について

料理提供

 少人数では、全員の料理が揃うのを待ってからいただく。公式晩餐などでは、途中で招待側が、どうぞと進めてくれる可能性が高い。それを待って、お食事など致してみましょうか。

食事のスピード

 会食の際、食事のスピードは、早い人は遅い人への気配りを、遅い人は、おしゃべりを控えて食事を早めに進めるなど、偏差値の50付近を目ざすべき。おおよそ、回りを眺めつつ食事を取れば、それほどの逸脱は起こらない。極端な逸脱は、おしゃべりに夢中になったり、がむしゃらに食事にのめり込んだ不作法の極みの可能性が高いが、ゆっくりな人は、途中で食事を辞める事も可能である。

 もっとも恐るべき不作法は、マッハの力で皿を平らげる不作法である。かような人物は、食事を楽しまず、腹を満腹させるという、飢餓精神の結晶化した終末の姿をさらし、もはや一人前の人間であるとは見なされない。我が子を喰らうサトゥルヌスと呼ばれることであろう。

 また、西洋社会の根本マナー(ソーシャル・マナー)にあるレディーファーストについては、男性は女性の食事の速度に合わせることを、常に心がけることが奨励される。だからといって、女性とまったくおなじ動きで、ナイフとフォークを動かしたら、あんさん、それはコメディでんがな。

食べない時の手の位置

 国によって、マナー書によって異なる。伝統発祥のルーツからすれば、イタリア、フランスのテーブルの上に手首の先を乗せておくくらいがよいかもしれない。これは、「武器は持っていないぜ」という証から来ているのだそうだ。もっとも膝元にあっても、かまわないので、あまり気にしなくてもよいだろう。しかし、お食事中にテーブルに肘をつくのは厳禁である。まして島唄を歌いながら、カチャーシーなど手をひらひらさせてはならないのである。

お食事のなさりかた

音を立てて食べるのは最低最悪。打ち首獄門。閻魔大王ぶちぎれなさって、阿修羅地獄の釜鍋に込められ、ぐつぐつ状態へと投ぜられてしまう。特にスープをすすると、「うるさい輩めが」すずめの舌を抜かれるから注意が必要である。

・また顔をテーブルに近づけて、ついでに料理を「くんくん」しながら、いただくのは、「犬食い」として軽蔑される。ついでに食事中に相手におべっかを使おうものなら、まさにしっぽを振った犬っころである。ポチは小屋へ帰れ。

・以外に、ないとも言えないので、ついでに書いておくが、癖だからといって「貧乏震い」などをしてはならない。テーブルは地震に見舞われ、大地は裂け、ワインの雨は降り注ぎ、やがては警報が鳴り響くことであろう。そのぐらい、卑しいものである。

・皿は基本手に持ってはならない。サラダも、デザートも、スープも駄目。まして指先で、皿回しなどしては、絶対にならないのである。ただし、取っ手の付いているカップスープの場合、それは持つところであるから、もちろん持ってよい。おなじ理由でコーヒーのカップも手に持つが、この場合、ソーサーはテーブルの上である。ワインも柄の部分があるので、持つべき存在である。

・かといって、首を皿に近づけてはならない。猫背排斥運動展開中。こぼれてもナプキンが敷いてあるので、ナーバスにならず、座った姿勢のところへ、フォークやスプーンを持ってきていただく。日本人がこれが苦手なのは、器を口もとに持ってくる文化だから仕方がない。

・遠いものは和食洋食に関わらず、誰かに頼んで取って貰う。誰かの前に手を伸ばす方が、相手の手をわずらわせるよりはるかに失礼。しかもこぼすかも知れない。クライシスの予感。

カットラリー

フラットウエアーとも言う。ナイフやフォークの総称。正式な晩餐などへお呼ばれすると、ナプキンなどが載っている真ん中の皿(位置皿・料理を載せる皿ではない)の左側がフォーク、右側にナイフやスプーンが沢山並べられる。これは基本外側から使用していく。別に使い間違えても、給仕が整えてくれるから、気にせず堂々と使用していればよい。何かが必要だと思ったら、気軽に声を掛ければよい。間違っていても、「そりゃ違うぜあんた」なんて言われないから大丈夫。パン用のバターナイフがある場合は、一番右側の可能性がまあまあある。

・持ち方、両手で持つ場合は、左手にフォーク、右手にナイフ。ナイフは軽く握る感じて、人差し指が柄と刃の境目あたりに来る感じで上から添える。

・フォークは、基本、椀になった部分を下側(つまり背の部分、湾曲している山の方を上側)に向けて、やはりナイフと同じように握って、人差し指を柄とフォークの三叉部分の境のあたりに添えて使用する。

・フランス式だと、時と場合によってこれを反対側に返してスプーンのように使用してかまわない。イギリス式の正式はいかなる場合もフォークは椀の部分を下側にしておくようだ。(明治維新の際、このマナーが一緒にもたらされたため、今でもライスをフォークの背中に乗せて食べる人もいるが、わたしに言わせれば、どちらの方法でも、つまり背中に乗せたからといって、食べにくいと言うほどのこともない。つまりは好きにすればよい。目くじらを立てなさんな)

・そうは言っても、日本人はライスをベースに置くので、ここでは、御飯などを食べる場合は、フォークの背中を下にして、つまりスプーンのような持ち方で、左手のまま、すくって食べることをおすすめしておく。フォークにナイフで御飯を載せるような感じでいただく。右手にフォークを持ち替えるよりずっとスマートだ。

・もともと西洋はパンをいただく文化圏なので、ライスを添えての食事はあまりない。むしろライスのいただきかたは、日本式を掲げてもよいかもしれない。

・フランスなどでは、場合によっては、ナイフを置いて、フォークを右手に持ち替えてもかまわないので、日本人ももちろんOKである。(と勝手なことを記しておく。)

スプーンは右手が基本。スープはイギリスとフランスで、すくう方向や皿を傾ける方向が異なってくる。気にせず、手前から奥、あるいは奥から手前にすくって、少なくなったら奥か手前に傾けていただけばよいだろう。ただし、どちらかに方針を定め、すくう度に方向が変わるのは止めたい。また口へ入れるのも、スプーンのサイドに口をあてるのがイギリス流で、先端から口に入れるのがフランス流なのだそうだ。

・取っ手の付いたカップスープは、持ち上げて飲んで良い。カップスープにスプーンを入れる場合は、途中や、飲み終わった後に、スプーンを中に入れておかない。受け皿のこちら側か、向こう側に置いておく。

・ナイフは押すときに力を入れて、切る感じにするとうまく切れる。基本は、料理の左側からいただく。つまり、左端をフォークで押さえて、その右側をナイフで切って、押さえた左端をフォークで口に運ぶわけだ。

・カットラリーは上に向けたり、人に向けたり、振り回したりしてはならない。また、念力を使って、曲げたりしてはいけない。空中に浮かべてもいけない。これは魔女にすら許されない、最低限度のマナーである。いかなるマジシャンも、食事中には、念力は行使しないものである。

・特にナイフは、人に向けないように注意する。概して、口に運ぶ時以外は、カットラリーはお皿の近くに留まっているのがのぞましい。これをお利口な猫さん状態と呼ぶ。(嘘)

・食事の途中に、皿にカットラリーを置く場合、フォークの椀の部分を下側に、ナイフの刃の部分を内側にして、ナイフとフォークで山を描くような置き方にする。まだ食事中なので、柄の部分は皿から出しておく。フランスの場合、ナイフとフォークの先端部分のみが、皿の内側にあるような幅の広い置き方をする。

・終わった後は、フォークの椀の部分を上にして、つまり基本の握り方とは逆向きにして置く。ナイフの刃の部分は相変わらず皿の内側に向け、さらにナイフとフォークを同一方向へ向けて、縦(イギリス)、横(フランス)、あるいは斜め(アメリカ、日本など)に置いて終了を示す。この場合、皿のなかに柄まで入れてしまってよい。

・食事は日本食と同じで、お皿に載せられた、付け合わせなどもバランス良く無くなるように食べる。順番に片づけていくのは、はなはだしくもみったぐねえ。

・関係ないが、スパゲッティはスプーンは使わないのが普通。フォークだけでいただく。その場合右手でいただく。スプーンを使用するのは、スープの多いものくらい。残って取れない最後のスパゲッティやライスは、フォークで潰すようにして押しつけると、あいだに挟まってすぐに口に運べる。

・個人的に近頃思うには、スパゲッティーをスプーンを使って食べるのは、和風スタイルとして、認めてもいいのではないだろか。マナー状マイナスになるようなことは、何もないように思われる。特にソースのゆたかな物は、ソースをスープに持たせつつ、口元へ運ぶのは、お味のためによろしいように思われる。

・最後にもう一度。料理にしろ、カットラリーにしろ、落としても自分で拾わないこと。

パン

・明確な規則はないし、おなかを満たすために食べていけない訳でもない。がみがみ言いなさんな、このタコ頭。(だんだん素が出てきたな)

・さようですな。しいて述べ立てるならば、初めの一品が並べられたあたりから、自由にいただいてはいかがでしょうか。バターはバターナイフが付属していればそれを使用して、無ければ自分のカットラリーのバターナイフを使用する。適量のバターを、そのまま付けずに、一度自分のパン皿に載せて、一口ごとに千切って、バターを付けて、いただくのがよろしいかと思われる。

・料理のソースを付けて食べることは、フォーマルな席では避けた方がいい。一方、友人や気さくなカップルの会食くらいなら、大いに宜しいくらいのものだ。しかし、スープに浸して食べるのは、味噌汁御飯なみに宜しくないらしい。もっとも、素敵な仕草の美男美女が、優雅に行ってしまえば、このタブーも見逃されるかもしれない。その点、味噌汁御飯は、天皇が行ってもやはり浅ましい気がする。

・パン皿のないものは、テーブル・クロスの上に直置きする。パンは自分の左側。ナプキンだって左側。席の出入りも左側。どうだ、なかなか分かりやすい左側ではないか。千切った口は、自分に向けておく。汚いところを回りにお見せしない配慮が必要。

・パンくずを自分でせっせと集めちゃ駄目よ。まして「インコの餌にするの」なんて袋に詰めちゃ駄目よ。

フィンガーボール

・エビとかカニとか、直に指で食べるような食材だと、フィンガーボールが出てくることがある。レモンなどが入っていても、決して飲むための水ではない。食べ終わったら指先を洗って、ナプキンで拭く。(ハンカチなどを出さないこと)

最後に

・このコンテンツは、自分の確認用です。まるでマナー知らずの人間ですので、間違いがあるかもしれません。それでも利用なさる方は、参考に留めることを、密かに期待するものであります。

2010/07/08

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