すき焼きの作り方 (レシピ)

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すき焼きの作り方 (レシピ)

 杉の箱を味噌味ベースで火にかけて、魚介類と野菜を杉の風味にいただくような「杉焼き」は、17世紀にはすでに知られていたと言いますが、それよりも江戸時代に、農具の鋤(すき)のうえに鳥肉などを焼いて食べる「鋤焼き」の方が、「すき焼き」の由来ではないかとささやかれるような今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか。

 そんな社交辞令もありませんが、いずれ文明開化の明治の後に、牛や豚の肉食が広まると共に、いつしか肉の焼き鍋が、関西で「すき焼き」と呼ばれるようになり、同じように関東で広まった「牛鍋」もまた、次第に「すき焼き」と呼ばれるようになっていったとされています。

 あるいはそうではなくて、
  単にすき身の肉を焼くから、
  「すき焼き」には過ぎないのでしょうか。

 いつしか謎は謎を呼び、新たな都市伝説を湧き起こしそうな大和の料理には違いありませんが、割り下を使用する関東風と、焼き肉に、砂糖と醤油を中心とした味付けをして始まる関西風と、東西の区別があるばかりでなく、それぞれの地域や家庭で、互いの正当性をめぐる争いが勃発。さながらそれは数百年は続く春秋戦国の乱世の様相を呈したともされますが……

 それならわたしには、わたしの個人的な、
  「すき焼き」のレシピがあっても、
    かまわないような気もするものですから……

お肉して
   フライパンして あなたして
 食べるの大好き 焼きネギおいしい

 こんな「すき焼き」の物名(もののな)が詠まれても、
   なんの差し支えもありませんです。はい。

[元歌
   お肉して フライパンして たまごして
     あなた愛して 焼きネギおいしい]

[「食べるのが好き」ではいけない理由を三十字以内で述べよ]

2人前の作り方

割り下

・上の量は、二人分の具材で、はじめの材料分の割り下。
  野菜や肉を後から足すなら、多めに作っておいて、
   具材を足しながら、割り下も足していく。

・普通のすき焼きは砂糖を倍くらいは入れるが、それだと素材の味はすべて砂糖にされてしまう。ニンジンと大根の味が、ゆたかに表現されるくらいの、塩分と糖分が理想かと思われる。たとえば、
    醤油4:みりん3:砂糖2:水1
などという配合も、ネットでは紹介されているが、これはすべての素材の味を、台無しにするような甘さだった。(ただし肉だけは、悪くはなかったが……)
 もちろん個人的な、感慨には過ぎません。

それ以外の、調味料

材料 (あとはお好みで)

調理

[仕込み]
 以下のものは、直接調理してもよいが、初めにお湯で軽く下ゆでしておいた方が、雑味やアクが混入しないのでおすすめ。
     菜っ葉もの……小松菜、春菊、カブの葉などなど
     金時草………色が付くような葉は、下ゆでして、最後に投入
     しらたき……水洗いより、さっと茹でた方が臭みが出ないか
     キノコ類……エノキなどは、軽く茹でた方が苦みが出ないか


割り下は、事前に多めに作っておく。すべての調味料を混ぜ合わせればそれでよい。


 ニンジン、大根あるいは、その他の根菜類(ジャガイモなどもおいしい。カブは短めの加熱で柔らかくなる)を、ちょっと厚めに輪切り、あるいは輪切りの半切りや、銀杏切りにして、フライパンに並べて、サラダ油を回しかける。中弱火に掛けて、ときおり返しながら、のどかに加熱する。


 根菜類の加熱の途中で、菜箸で具材をまとめながら、ネギの白い部分、白菜の芯の部分、さらに焼き豆腐など、長めに加熱を加えたい具材を投入していく。エノキ、油揚げや、白菜の緑のある部分、ネギの色のある部分などは、割り下を入れる直前か、割り下を入れた後に加えればよい。

 さらに、小松菜や春菊など、すぐに火の通る青物は、割り下を入れて、肉を入れるちょっと前くらいでよい。下ゆでしておいた場合は、肉とおなじくらいで、さっと火を通すだけ。


 具材は、加えながら、菜箸で所定の位置(お好みで)にまとめていく。そうして割り下を入れる前に、バター10gくらいを数カ所に分けて投入。バターは邪道と考える人は、入れなくてよいが、なかなかのおすすめ。それから、割り下(二人分200cc強)を注ぎ入れる。


 肉は適当なタイミングで、別に下ごしらえをしておく。まずしばらく前から、常温に置いて、肉の温度を室温くらいに高めておく。別のコンロに水を張って、その中に肉を投入して、弱火で加熱。肉がピンク色になってきたら火を止めて、湯切りする。別のやり方としては、シャワーの温度を50度にして、鍋のなかに入れた肉をさっとゆすいで、お湯を切り、またお湯を張って、50度のお湯に5分くらい付けておく。(つまりはあく抜きをする)


 割り下が沸騰してきて、青物野菜に半ば火が通りかけた頃、さらにフライパンの具材をうまくまとめて広いスペースを作り、ザルなどで湯切りした牛肉(あるいは豚肉)を、そこに投入する。


 後は、肉の赤身がある程度抜けたら、火を止めて完成。
  肉を柔らかくいただくためのやり方なので、完全にすべての色が赤身をなくすほどにはしなくてよい。だからコンロの上に乗せたとしても、加熱は続けないで、火を止める。火を使うのは、さめたときにちょっと、具材を追加したときにちょっと、くらいでないとすべての具材は過加熱で、その味わいを台無しにする。


 卵を溶いて、すき焼き鍋、あるいはフライパンの中にある割り下を、少し加えて混ぜ合わせる。具材をそのまま、あるいはこの溶き卵に絡めていただく。そんな「すき焼き」がわたしはは好きやき。(溶き卵にちょっと醤油を垂らしてしまってもおいしくいただける)

[追加]
 野菜を追加する場合は、根菜などは、あらかじめ多く焼いて取り分けて置くか、「すき焼き」をいただいている間に、のんびり加熱しておく。肉は例のあく抜きをしておく。それを湯切りして、「すき焼き」に足していけばよい。菜っ葉ものなどは、やはり下ゆでしたものを並べておくと、手っ取り早いし、割り下の味が悪くならない。

覚書

・出汁を加えて、その分割り下を薄めたところ、鰹だしのせいもあってか、苦みのような嫌みが感じられた。最後に肉を加えるくらいでも、この割り下の量に対して、肉のうまみが十分調味料と解け合って、それ以上の出汁は不必要かと思われる。またこの料理は、上品ぶった味わいよりも、家庭的な味覚に訴えたとき、おいしいと感じるのではないだろうか。

・香味野菜、ハーブなどを加えるときは、当たり前だが注意が必要。春菊でも、割り下の味の変化が大きく、下ゆでした方がおいしくいただける。フェンネルを試したときは、下ゆでしても、食べられないこともないが、食べたいとも思わないようなものだった。バターを加えるなら、少量のローズマリーを加えるのはありかとも思われるが、試してみると、それほどうれしくなるほどのよろこびもないようだ。オーソドックスなスタイルが、なかなかに王道であるように思われる。

リンク

ウィキペディア すき焼き
……ウィキペディアの「すき焼き」の説明。

2008/12/21⇒完全消滅
2014/11/14 新レシピ
2015/11/14 日本酒入に変更

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