美味しい天ぷらの作り方

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天麩羅 (てんぷら) とは

 小麦粉のうち、薄力粉を使用して、グルテンの生成を抑えながら、さくさくの衣で、素材を包み込みつつ、からりと揚げて、しょう油ベースの天つゆで、あるいは塩でいただくという天ぷら。揚げ物の多くが、タンパク質の一種であるグルテンの作用により、粘り気のある、しっかりした衣を指向する中に、あえて反旗をひるがえす、軽やかなレジスタンス。それこそが天ぷらの、日陰者なりの反骨精神ではなかったか。時にはお優しすぎると、ささやかれる彼らのベースは、江戸時代に確立したとも言われている。江戸っ子の庶民に端を発した天ぷらが、今、世界を駆け巡る。(なんのこっちゃ)

 ざっくばらんな作り方。例えばこだわるなら、卵は黄身を何グラム使用とか、サラダ油とゴマ油の比率とか、温度がどうとかこうとか、大変なことになりかねない。

衣について

 衣の質感を変える卵は、卵黄のみを使用する場合と、すべてを使用する場合があり、「卵黄」だけの方が柔らかさと同時にサクッとした軽やかな食感が楽しめるものの、時間がたつと湿って「へたれ野郎」になりやすい。作り置きまで考慮に入れるなら、卵白も共に使用する方が家庭向けとも言えるかも知れない。

 他にも、焼酎やビールを入れると、からっと仕上がる。重曹、ベーキングパウダー、コーンスターチなどを加えることにより、カラッとした状態が長持ちするなど、さまざまな技がある。市販の天ぷら粉は、このような添加物を加えて、揚がりやすく、長持ちしやすく調整されたものであるが、同時に衣がしっかりしすぎて、くどくどしくなる傾向にある。ちょっとしたコツをつかめば、小麦粉と卵で十分であるので、そちらの方をおすすめしておく。

天つゆの作り方 (レシピ)

・分量は、作る量に合わせて変える。簡単な方法としては、すべてを投入したものを、鍋で加熱し、沸騰したくらいで火を止める。それを漉して、かつお節を取り除くだけ。

天ぷら粉の作り方

[はじめに]
 天ぷらに使用する材料の下準備を済ませて、油に火を掛けてから、冷蔵庫に入れておいた材料をもとに、次にしるす要領で衣を作る。するとその間に、油が180度くらいになって、すぐさま素材を衣につけて、天ぷらを揚げはじめられる。という流れが理想。


 温度が低い方がグルテンの粘りが出にくい。つまり油に投入するまでは低温で処理することが、軽やかな衣を形成するための、条件となる。そこで、使用する卵、水、小麦粉は、冷蔵庫で冷やしておく。小麦粉は、冷蔵庫に入れるときに、ふるっておくとよいかもしれない。小麦粉に薄力粉を使用するのも、グルテンによる粘り気を防ぐ、絶対条件となる。

・植物性のタンパク質で粘り気に関係するグルテン。小麦粉の内、その含有量の多い方から強力粉、中力粉、薄力粉となる。天ぷらの場合は、粘り気のない、からっとした薄い衣が求められるので、薄力粉が相応しい。
・このグルテンは、温度の高い方が、よく混ぜた方が、粘り気を強くする。したがって、低い温度で、あまり混ぜないことが、天ぷらの衣には相応しい。


 天ぷらを揚げる直前に、衣を作る。まず冷水400ccに、卵を一個(黄身も白身も)割り入れて、泡立て器などでよくかき混ぜる。


 当然のことながら泡が立ってしまうので、あく取りの要領で、泡を取り除いておく。


 この[冷水+卵]に、小麦粉を[1:1]の比率で混ぜ合わせれば、衣の完成である。まず400ccの[冷水+卵]を、200ccだけ、ボールなどに入れる。そこに、冷蔵庫で冷やした小麦粉(薄力粉)を、混ぜ合わせる。その方法は、あえて次に記す。


 グルテンは、細かく混ぜることによっても、粘り気が出てくるので、例えばすり鉢用のバチなど、極めて太い棒を使用して、ざっくばらんに混ぜ合わせるのが、衣を作るときのコツである。


 小麦粉を何回かに分けながら、[冷水+卵]の中に入れて、太めの棒でかき混ぜながら、また小麦粉を投入する。塊のような小麦粉は、棒で潰すようにして、ムラをなくしつつ、すべてがナチュラルに混ぜ合わされるほどには、すべからく混ぜ合わせないでよい。(こんな分りにくい表現のあたりをすり抜けるのがコツらしい)


 簡略すると、丁寧に出はなく、短時間にざっくばらんに混ぜ合わせて、大きな塊がなくなったら、もうそれ以上は、混ぜないで、付け衣の完成である。


 その頃、油がいい温度になっていれば、理想である。

天ぷらの油について

[油の量について]
 料亭に限らず、安っぽい天ぷら屋でさえも、家庭とは使用する油の量が、根本的に異なってくる。大量の油に素材を投入するのだから、投入したからといって、温度変動もあまり大きくなく、「この素材だから、何度で揚げるべきっである」などと、ゆとりを持って、答えることも出来る訳だ。家庭では、温度が下がることを考慮に入れつつ、ある程度の状態を保って揚げるという、ある意味プロ並の技が、必要になってくる。(だからこそコーンスターチや、重曹などの入った、比較的ムラ無く、からっと揚がるタイプの市販の「天ぷら粉」が幅を利かせる訳である。この「天ぷら粉」は、時間がたっても、からっとしているという利点もある。)

[油の質について]
 料亭などでは風味ゆたかなゴマ油をブレンドしたり、さまざまな油にこだわって、オリジナルな天ぷらを揚げようとするものである。また油の鮮度も問題になってくるが、これらの探求は、家庭料理の領域を突き抜けている。つまるところは……

[油について]
 フライパンで少量の油という方法もあるが、ここでは、普通の揚げ鍋を使用し、鍋に半分強のサラダ油を投入し、そこに1割程度のゴマ油をブレンドしてみるという、暫定措置法を定めつつ、次に逃れようと思う。鍋は、油の温度が分る簡易温度計が付属していて、常に確認出来るものがあれば、もっとも有難い。(あまり正確なものでなくても、目安にはなる)

素材とその揚げ方について

 さて、いよいよ興が乗ってきた所だが、以後は次回のお楽しみである。(こらこらこらこら)

[ざっくばらんに覚書をしるしておく]

・まず、素材には別に小麦粉を軽く振っておくと、衣とのなじみが良くなる。(素材に応じて、あるものは全体に、あるものは切り口に、あるものはふらずになど、さまざまなやり口があるようだが、「料理人よ、お前はその事ばかり考えるのが仕事だが、俺たちはそんなことに構っちゃいられない」というのが、一般人の感想である。)ざっくばらんに、小麦粉をふるっておくと、そのまま衣につけるより、なじみが良いだろう。

・衣を付けた素材を入れると、家庭用の揚げ鍋くらいでは、急激に温度が下がる。したがって、多めの油に、比較的少量ずつの素材を投入して、のんびりと順番に、揚げていくのが、もっともよいように思われる。例えば素材は、油の表面の全体を覆い尽くさない、理想は半分程度など。

・シソなどの葉っぱものは、低温で揚げた方がよいとされるが、わたしには、180度くらいの油に投入して、すばやく返して、すばやく取り出す方が、葉っぱの味がまだしも生きているように思われた。

・反対に、カボチャ、サツマイモなど、火の通りにくい根菜は、160度くらいの低温でじっくり揚げた方が良いように思われる。最後に温度を高めつつ取り出す感じ。また揚げる時間の長い根菜などを先に炒め、葉物は後に回すと、天ぷらが冷める前に提供できるなど、順番も重要である。

・菜っ葉として美味しいものは、シソ、バジル(シソより味が残る、しかも嫌な味ではなく美味しい)、モロヘイヤ、春菊など、さまざまあるが、実際のところは、素材本来の味わいを殺しつつ、衣をいただくような傾向が否めない。このような葉っぱものは、刺身の後ろの大根やニンジン、あるいはシソのような感覚で、少量天ぷらに盛り合わせるのが望ましいかと思われる。多く食すると、衣の油のくどさばかりが、腹に答える結果ともなるからである。

・海産物、肉などを天ぷらにする場合は、まず野菜を揚げて、その後で、肉、海産物へと渡るのが望ましい。家庭用では油が少量なので、すぐにアクが油に乗り移ってしまうから。

・もっとも大切なことは、毎度温度計を眺めつつ、あまり温度が変動せずに、一定の状態で揚がるくらいの、素材の投入量と火力を見極めることである。これさえ適えば、温度が高くなったら、火力を弱め、あるいは新たな素材を投入し、低くなったら火力を強め、あるいは素材の投入を見送り、という、到底説明不可能のデリケートな作業を、実体的に把握できるようになるだろう。それは感覚的な記憶であり、知識的な記憶よりもはるかに人間に備わり、同時に生活を支えているものであるからして、それさえ無ければ、料理など適わないようなものである。

・ほら見たことか、天ぷらとは関係すら無くなってしまったではないか。

リンク

ウィキペディア 天ぷら
ウィキペディアの天ぷらの説明。

2013/11/11

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