スギとヒノキ、花粉症の発症

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 随時編集中につき、盲信しないで下さい。四月過ぎから非道くなるのは、一見ヒノキの症状かと思いつつ、実は大量の人が別の花粉に苦悩しているのではないかと思われる2009年なのでありました。

 花粉症シーズンを通じて、鼻とは別に、しゃべろうとするたびに咳が出る、長文がしゃべりきれないくらい、喉の調子が悪化する。しかも飲み薬であまり改善されない。という症状がつづきます。喉が痛くなったり、する人も多い割には、花粉症専用の喉スプレーが見つからない気がするのですが。浅田飴 アズレンのどスプレーあたりはどうなのかな。

花粉症について

 花粉症(かふんしょう)は、英語ならhay fever(ヘイ・フィーバー)、医 学用語でpollinosis(ポリノシス)と呼ぶ。1型アレルギー(1から5まである)に分類され、様々な花粉によって引き起こされる、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといったアレルギー性鼻炎や、目のかゆみといったアレルギー性結膜炎といった症状を持つ。英語のhay feverは(干し草の熱)の意味。ヨーロッパで19世紀に牧草を干し草にする時に特徴的な症状が現れると命名されたとか。これがそのまま訳され、枯草熱(こそうねつ)と言われることもある。日本では、春先のスギ・ヒノキ花粉が圧倒的だが、他にもブタクサ、イネ科の植物、ヨモギなど様々な花粉によるアレルギーが存在する。特にスギ花粉症患者の7~8割はヒノキ花粉にも反応するそうだ。

日本でのスギ花粉

 振り返って花粉症ではないかと思われる症例は以前からあるが、日本では1960年代になってブタクサ、カモガヤ、スギ、ヨモギなどの花粉症が認知されるようになった。当初は帰化植物であるブタクサの症例が多かったが、70年代半ばからスギ患者が増大。戦後の圧倒的なスギ植林と、それより10年ほど遅れて増加したヒノキ植林が、樹齢30年を超えて大量の花粉飛散を開始。悲惨な飛散と相成ったと考えられる。さらに植林に当て込まれた木材利用が、外国輸入にシフトし、国内林業がほとんど瀕死の状態になるにしたがい、手入れのされない膨大なスギ樹林を生みだし、せっせと花粉を飛ばさせる原因となっていく。1980年代には社会問題として定着した。また都市化による鋪装の拡大で花粉が何度も舞い上げられるとか、排気ガスとの関連も取りざたされているが、確定的ではない。飛散時期はスギが先に、ヒノキが一ヶ月ほど遅れてピークを迎えるため、該当患者は長期にわたって花粉に苦しめられることになる。

アレルギーの発症について

 私の未確定的な情報をええ加減に記せば、「免疫抑制遺伝子(アレルギー抑制遺伝子)」を持つ人は、外界からの異物(抗原・アレルゲン)により「IgE抗体」というものが作られるのを抑制することが出来る。これをもたない人を「アレルギー体質」の人といい、IgE抗体生産調整が効かず、抗原が侵入するたびに、IgE抗体がつくられていく。そして遂に発症してアレルギー(1型アレルギー)となる。また発症すると、「1型アレルギー性疾患」(アトピー性疾患)と呼ばれ、花粉症だけでなく、ぜんそく、アトピー性皮膚炎なども、1型アレルギー性疾患が関係してくる。(しかしぜんそくやアトピー性皮膚炎は、1型アレルギーだけが関与しているのではない。)

 さて、抗原が花粉で引き起こされるものを花粉症というが、半数ぐらいの人はIgE抗体が作られても、つまり免疫抑制遺伝子を持たなくても発症しないので、アレルギー体質だけが発症の原因ではないようだ。このアレルギー抑制遺伝子を持つかどうかは両親からの遺伝によって、生まれつき決定する。(劣性遺伝であり、両親が共に免疫抑制遺伝子を持って居ない場合、子供は免疫抑制遺伝子を持っていない。両親の一方でも持っていれば、子供も持っている。)

 スギの花粉によってIgE抗体が出来るまで。まず抗原が目鼻などの粘膜から侵入する。これが白血球の1つであり、侵入した細菌やウイルスを捕食し消化する細胞、マクロファージ(大食細胞、貪食細胞)に取り込まれ、食作用で分解される。マクロファージはこの抗原情報を細胞表面に提示する。するとこれがヘルパーTリンパ球(そのうちのTh2と呼ばれるもの)によって、Bリンパ球に送られる。Bリンパ球が抗原に対応する抗体を作成。スギ花粉のアレルギーを引き起こすIgE抗体を作り出す。つまりスギ花粉に対してのみ反応する抗体を製造するので、これを抗スギ花粉アレルゲン特異的IgE抗体、あるいは杉花粉特異的IgE抗体と呼ぶ。このIgE抗体は、全部で5種類ある免疫グロブリン(つまり抗体)の一種で、全体の免疫グロブリンの中でも人間中非常に少ないが、寄生虫などに対する抗体として知られる。

 IgE抗体は抗原侵入のたびに作られ放出される。炎症・免疫反応などを行う肥満細胞(マスト細胞・マストセル)の表面に付着していく。この付着量が一定量を超えた時、「感作が成立した状態」になる。この状態で抗原が侵入すると、抗原が肥満細胞表面に結合したIgE抗体(正確にはスギ花粉のための抗スギ花粉アレルゲン特異的IgE抗体)に直接結合。「抗原抗体反応」が起きる。これは通常の「免疫」作用と同様の反応であるが、この反応が不必要な場合に働く場合、「アレルギー」となる。

 肥満細胞は、各種化学伝達物質(ケミカルメディエーター)を保有しているが、この反応によって

ヒスタミン
ロイコトルエン
血小板活性化因子(PAF)
プロスタグランディン
トロンボキサン

などが放出され、神経や血管を刺激し、アレルギー症状に至る。(異物を排除しようとする。)即効性の刺激でくしゃみなどを引き起こすヒスタミンに対して、ロイコトルエンは鼻づまりや、数時間遅れて症状が現れる遅発性反応に関係するとされている。

 知覚神経(三叉神経)への刺激は、かゆみなどを引き起こし、さらに「くしゃみ」「鼻水」が出る。血管への刺激は、血管を拡張し、うっ血させる。また血液中水分が周囲組織ににじみ出て、水ぶくれを引き起こす。これで「鼻づまり」が引き起こされる。特に「鼻づまり」には、ヒスタミンと共に、ロイコトルエンが大きく関係しているとされる。また神経への刺激には、自律神経の「交感神経」と「副交感神経」のうち、「副交感神経」に深く関わっている。交感神経が優位に働くと放出されるアドレナリンは肥満細胞がヒスタミンを放出するのを押さえ、副交感神経が優位に働くと放出されるアセチルコリンは、血管を拡張させ鼻づまりを招き、神経の刺激によるくしゃみなどを引き起こしやすくすると考えられている。

[補足]
上に登場した、ヘルパーT細胞はTh1とTh2に別れるが、アレルギーの人はIgE抗体生産を導くTh2が優位にある。この二種類のヘルパーT細胞のバランスの崩れが、アレルギー発生に干与するという説がある。

2008/03/14

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